スラヴァよ永遠に

ロストロポーヴィチを偲ぶ



もうひと月も前になってしまったが、
7/21(土)、21世紀のチェロの巨匠でもある、
ロストロポーヴィチを偲ぶ会に参加した。
残念ながら、生前のお姿に触れることはできなかったが、
ボストン時代の小澤氏とのドヴォルザークのチェロ協奏曲
を耳にして以来、圧倒的な演奏にこれまでずっと気になっていた演奏家でした。
生前より私生活ともに交流の深かった(ご家族も参列)、
小澤征爾氏の呼びかけのもとに開かれたわけですが、
直前の案内にもかかわらず多数のファンが足を運ばれたわけで。


場所は、名誉指揮者でもある小澤氏の新日本フィルの本拠地、すみだトリフォニーホール
ベルリンのムジーク・フェライン・ザールと技術提携したホールで音響は抜群に良かった。
ロストロポーヴィチ氏が生前より、指揮したいとおっしゃっていた
という、チャイコフスキーの弦楽セレナーデが追悼曲として演奏された。
ステージ奥に映し出される亡き氏の映像をバックに小澤氏の指揮
する深い思いを込めた姿、そしてあまりの演奏の素晴らしさに、
普段の感動の瞬間とは異なる幸せな時間を共有させてもらった。
演奏後の小澤氏は、大変辛そうな表情ながらも、懸命に亡き氏の
思い出を語っておられたが、お二人の成熟した関係は相当のもの
だったようです。最後の演奏が、亡き氏の思いが小澤氏に
乗り移ったかのように聞こえてしまったのも不思議ではないのでは。


体調を崩して来日できなかった未亡人の代わりに、娘のオルガさん
チェリスト)がスピーチされましたが、彼女も父亡き後、
映像を見るのは当日が初めてだったようで、また辛そうでした。
最後に、参加者全員の献花で偲ぶ会の幕が閉じられましたが、
生前に何ができるのか、残せるのか考えさせられる貴重な時間になった。
そして、氏のリハーサル中での耳に残るフレーズとして、
「プレイする前のイメージが重要」。つまり、神経を集中して
音が鳴り始めるであろう予感(前ぶれ)をキャッチすること。
これは、人生に置き換えても重要な言葉なのは間違いないですな。
大事なフレーズ、ありがたく心に置いておきますね。


余談ですが、すみだトリフォニーホールで演奏した
来日オケで、これまででかなり評価されているのは、
99年のフィンランドラハティ交響楽団のようです(本拠地はラハティのシベリウス・ホール)。
ヘルシンキより1時間足らずの街だが、フィンランド屈指のオケのようです。
一度は聴いてみたいものですな。もちろんあちらで。
12月には、アイノラ交響楽団が来日する模様ですな。