35カ国行脚!自転車のある風景2&3

自転車のある風景1,2,3



金沢 靖氏の写真集「自転車のある風景」シリーズの
前回エントリーした1・ヨーロッパ・北欧に引き続き、
面白いテーマだったので、ここはガツンと欲張って、
同シリーズの2&3も激安で入手してみた訳で。


「自転車のある風景2・カサブランカ〜ニューヨーク」。
2000年〜2001年にかけて、モロッコチュニジア、エジプト、
トルコ、中国、ベトナムアメリカを網羅。
自転車大国である中国はある意味、自転車を体の一部のように
扱ったようなイメージ通りの内容だったが、特にモロッコ全般
が良かった。その中で、民族衣装にワラ帽子スタイルで
颯爽とカサブランカの街を駆ける美青年を切り取った一枚は
すこぶる格好が良い。おそらくワシだったら、その一瞬の
シーンに思わず振り返ってしまうこと間違いなしのショットでしたなぁ。
その他、ベトナムなど、やはり東南アジア圏では人の移動だけではなく、
一緒に大きな荷物を乗せて運ぶ手段としての意味合いが強く、
まず必ず自転車を持っていなければ生活できないと言ってもいいくらい
重要な位置付けになっているということが痛いほど感じられました。


次に、「自転車のある風景3・風に解かれた人々」。
2002年〜2003年にかけて、チェコハンガリーエストニア、ラトヴィア、
リトアニア、ロシア、ウズベキスタンキルギスカザフスタン
キューバ、メキシコ、ベリーズ、グァテマラ、ホンジュラス
エルサルヴァドル、ニカラグアコスタリカパナマ、インド。
ここまで書くと一体何カ国になるだろうか数えるのも面倒になるほど、
廻っていらっしゃるだけで圧倒されてしまいますな。いや〜、凄い!


「百塔の街」と呼ばれているプラハは、その名の通り尖塔が多く、
中世の古都のままということで、いつかは訪れたい場所。
この地で多く見られるメッセンジャーボーイは、その昔映画用フィルムが
高価だった時代のニューヨークで、一本のフィルムを2つの映画館で
使い回すために自転車で運んだのが始まりとされるのは有名な話のようですな。


その他、北欧より観光客も多いバルト三国では、平坦で山のない(最高海抜318m)
エストニアが自転車大国の予感の模様。ヘルシンキより近いが、
まだ行く気にはならないねぇ。ラトヴィアは、街並みはドイツ風、
超小型カメラの「ミノックス」はラトヴィア人によって作られたというが、
確かにスパイが隠し持っていたことでも有名ですな。
マニア垂涎の逸品のようだが、ワシには不要な訳で。
古い自転車が多数見られることから、一番の成熟度はリトアニア
旧ソ連の国ということが関係しているのかもしれませんな。
眺めているうちになんだか、この地で走らせてみたいという気持ちになりました。


南米各地での風景に出てくる自転車は、ロード用の
モデルが意外と多く見られたのが驚きだった。
ちょうど新品に変えたところだったのかな?
自転車の普及率の高さを感じた瞬間でした。
ところで、排ガスの都市メキシコでは絶対に乗りたくないっすな。
ん〜、想像するだけで辛過ぎるぞ〜。


ところが、インドになるとこれが一転。
いかにも、メード in 印度のオリジナル・モデルが出現!
どうやらインドの自転車屋は溶接が得意なようで、
出てくる自転車、自転車、そのまた自転車が
その目的の域を遥かに越えた、ただの自転車では
ない仕様になっていた。なんとなく、近年の
躍進するインドのIT社会にも通じるような一端を
垣間見れたような気がしたのが印象的だった訳で。


総括して、一生のうち、訪れることのない地の
自転車乗りたちの風景を眺めていると、その使用手段、
ライフスタイルが微妙に違ったり、また全く別の目的
となっているということが直にわかったのが、
かなり興味深い点でしたなぁ。
ともかく、5年間で35カ国も見てきた氏がおっしゃるには
10年、20年後も同じような、またさらに多くの「自転車のある風景」が
続くように環境問題にも触れていることに着目している点に敬意を表します。


第一集の「北欧編」を見ながら、2年前のコペンハーゲンの路上で
現地チャリ乗りのお兄ちゃんに怒鳴られたことで、自転車専用道路がきちんと
整備されたシステムが背景にあるからこそ、安心して乗れる快適さが
あるんだなと改めて思わせてくれましたなぁ。
これで、チャリが無性に乗りたくなってしまったシリーズの写真集には
間違いないので、次回の北欧旅行では、さらなるミッションが加わりました。


*お断りしときますが、ワシは普段、自転車乗りではありません。
数年前、路地にほっぽいといたら、いつの間にか撤去されてしまったので、
しばらくは健康のため(現状これ本当)、都内の環境のため(これも真にマジに)
可能な限り歩き続けようかなと。自転車を入手する気になるまでは。