予想通りのオーケストレーション。副産物あり

ロシアが誇る世界的マエストロ、ワレリー・ゲルギエフ指揮、
マリンスキー歌劇場管弦楽団を上野・東京文化会館で観た。
海外のオケなんて、90年頃のズービン・メータ&ニューヨーク・フィル以来で久しぶりっす。

東京文化会館で最後に観たのは90年頃かな(どこかのオケの第九だったと思う)。
いつの間にか、改装によりホール内部はすっかり変貌していた。
ステージ両サイドの壁にはおそらくサウンド構造上
のためだと思われるが、棒状の板が張り巡らされており、
その様子はどこか北欧的なモダン・スタイルを醸し出していたね。
それに客席手前の両サイドの壁面にも木製で形作られたモチーフが
張り巡らされているのもセンスがあって良いっすな。
以前は、ホテルオークラに敷いてあるようなカーペット柄
の布のようなものが貼ってあり、正直合わないなという印象だった。


演奏は10分おしで始まった。
今回の演奏者、ゲルギエフ&マリンスキー(以前はキーロフ)の組み合わせには
2001年頃から注目していたので、ぜひ生音が聴いてみたいと思っていたのである。
その頃から毎年のように、来日ツアーを敢行していたようだが、
海外のその他のオケ同様、チケットが高価なので、なかなか手が出なかった。
(オペラなんかは異常に高い)
今回は、身内のご厚意により見る機会を頂いた。


今回の来日の目玉はワーグナーのオペラ「ニーベルングの指環」全曲公演
(全8日間。15時間強!)で、その合間を縫って全国を回るタフなスケジュールであるのだ。
ちょうど、昨日(1/22)で終わった模様。
なので、今日のコンサートは、その「ニーベルングの指環」から一部を演奏。
"ワルキューレ" "ジークフリート" "神々の黄昏"など7曲。
アンコールは、歌劇「ローエングリーン」より第3幕前奏曲
終わりにふさわしい選曲だった。
全幕、全曲ではないので、聴く分の流れ的には少々もの足りない感じもしたが、
本来はオペラなので当然、オケだけを聴くことは不可能なので
集中して聴く機会を持てたことだけでも良しとしよう。


やはり、ゲルギエフ&マリンスキーのコンビは素晴らしかった。
ゲルギエフは、指揮台は使用せず、オケと同じ目線で
大胆ながらも非常に繊細な指揮さばき(特に柔軟な手首での表現法が凄い)、
そしてマエストロの手塩にかけられたマリンスキー歌劇場管弦楽団の演奏能力には
とても驚かされたし、感銘を受けた。明らかに欧米とは異なるサウンド
ロシアをイメージさせる、重厚でダークなサウンドが顕著だ。
CDで聴いていた通り、金管セクションのスキルが非常に高く、
特にトロンボーンセクションの怒涛のパワーはいかにもロシア的な重厚サウンド
このオケの特徴を担う重要なセクションに間違いないと思う。
また主席トランペット・プレイヤーがベルを上に向けてブローするのも
「魅せる」という点ではわかり易く、またオリジナリティのあることだと思うね。
今回やっと生音を聴くことができたので、今後はCDを聴くのにいろいろと
参考になる部分があったのは大きな収穫だった。
感謝、感激。


そういや、本拠地のサンクトペテルブルグフィンランド
と目と鼻の先ほどの位置関係にありますな。
今年も7月のMikkeli Festival(フィンランド)に出演予定の模様。
以上、北欧関連小ネタ。


次回は、「くるみ割り人形」、これをぜひ観たい。
かなりのダイナミクスを付けながらも、きれのあるニュアンスも
表現されていて、必聴盤になっています。
実は、今回、地方公演でやっていました。くぅ〜、観たかった!

チャイコフスキー : バレエ音楽<くるみ割り人形>作品71 全曲
サンクトペテルブルク・キーロフ合唱団 サンクトペテルブルク・キーロフ歌劇場管弦楽団 チャイコフスキー ゲルギエフ(ワレリー) ボリソフ(ワレリー)
ユニバーサルクラシック (1998/11/30)
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おすすめ度の平均: 4.2
5 劇場仕立てのメリハリ〜〜
1 速すぎる!
5 くるみ割りはこれ1枚で充分

あと、これも見て観たい。
とにかく演奏が凄すぎる!最初の一音でやられました。
とにかく聴いてもらいたいですね。
ロシアの作曲家はロシアのオケでという図式が
改めて認識でき、これまでの他のオケでの演奏を覆す驚きに値する一枚でした。

R.コルサコフ:シェエラザード
ゲルギエフ(ワレリー) キーロフ歌劇場管弦楽団 レヴィーチン(セルゲイ) リムスキー=コルサコフ ボロディン バラキレフ
ユニバーサルクラシック (2002/07/24)
売り上げランキング: 2,132
おすすめ度の平均: 4.4
4 その濃厚さ、不気味なほど!
5 衝撃のシェエラザード
5 濃厚でヒューミッドなオーケストラの響き。官能的!!


以下も要チェックです。

ベルリオーズ:幻想交響曲
ゲルギエフ(ワレリー) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ベルリオーズ ボロディナ(オリガ)
ユニバーサルクラシック (2003/10/01)
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さて、ひととおり終わり、満足して席を立とうとすると
わしらの前に、先日某民放テレビでお見かけした
ビブラストーンな方がいらっしゃった(クラシック、お好きなようですな)。
そういや、演奏中、オペラグラスで一生懸命に注視していたので、
熱心な人だなと思っていたのですが、あの方とは。
意外でした。
「空耳ア〜ワ〜〜」